遠赤外線の発見

NASA(航空宇宙局)において、「宇宙船何における人間の生存条件」の研究が行われました。研究内容は、真空・無重量・極低温という過酷な条件の宇宙船内で人が生存するために最も重要な要素を調べる研究です。この研究では太陽光のうち「波長8~15ミクロン(μm)の赤外線が生物の生存に欠かせない」ことがわかりました。この結果それまで赤外線と称されていた電磁波は「近赤外線」と「遠赤外線」の2つに区分されるようになりました。

遠赤外線は電磁波

遠赤外線は、電磁波で、電磁波電場と磁場が交互に押し寄せる波のような特性があります。太陽はガンマ線から電波に至るまであらゆる波長の電磁波を放射しています。その中で0.75~1000マイクロ・メーター(μm)の波長領域が赤外線と呼ばれています。さらにその中で4~1000μmの波長領域が遠赤外線です。この波長を温度に変換すると450℃~-270℃となります。つまり比較的低温の放射体が発する電磁波が遠赤外線なのです。

太陽からでる電磁波

遠赤外線の加熱作用

 遠赤外線は分子に振動エネルギーを与えて運動を活発化させるために、電気極性を持つ分子に運動エネルギーを与えます。遠赤外線のエネルギーを得た分子は加速して他の分子と衝突し、それが熱になります。遠赤外線は熱ではなく相手の分子に自己発熱を起こさせる電磁波という一種の電波です。熱は物質の表面を暖め、遠赤外線は物質の内部を暖めるという違いがあります。
 魚を焼くと皮は焦げたのに中身は生という経験はありませんか?熱というのはまず魚の表面を暖め、熱伝導によって徐々に深部に伝わります。このため表面が焦げているのに中身は生ということが起こるのです。ところが、電子レンジで魚を焼くと表面と中身がほとんど同時に火が通ります。これは、電子レンジがマイクロ波という電磁波を使っているからです。電磁波は対象物に浸透して内部を加熱する性質があり、マイクロ波とは波長が異なりますが遠赤外線も電磁波の一つです。

遠赤外線と健康

 人間の平均体温は36.5℃といわれていますが、この温度を波長に換算すると約10μkmとなり、10μkmの遠赤外線を身体に与えると身体を構成する分子の運動が活発化します。波長が重なり合い分子運動が増幅される(共振現象)からです。分子運動が活発になると細胞も活発化し、結果、血行がよくなり、新陳代謝も活発になり、身体も暖まります。体重の60%は水分で、身体の脂肪や重金属は水分子と水分子に挟まれており、水分子同士がしっかり結合されている状態だと動けませんが、遠赤外線によって水分子が動き出すち分子の結合は緩やかになり、水分子の間に挟まれていた有害物質や脂肪は解放されて体外に排出されていきます。このことから、遠赤外線には体内の不純物を排除する清掃作用もあるのです。

遠赤外線の吸収・反射・透過

遠赤外線は有機物に吸収されやすく、遠赤外線の95%を吸収します。対して、近赤外線の吸収率は約80%で、残りの20%は反射されてしまいます。一方、金属などは遠赤外線を反射してしまい、ほとんど吸収しません。吸収された遠赤外線は対象物の内部で熱に変わり、その一部は対象物を透過して反対側に飛び出してしまう(透過)こともあります。

遠赤外線の用途

暖房、乾燥、健康、医療、美容、保温などの多岐にわたり使用されています。

赤外線で検温

遠赤外線はクリーンエネルギー

夏日に屋外に長時間いると、日焼けや熱射病になりますが、それらは太陽光のうち紫外線や近赤外線が原因でおこりますが、遠赤外線についての副作用はこれまで報告されていません。ですから、遠赤外線は安全でクリーンなエネルギーなのです。

光電子繊維とは